ライチ☆光クラブ 千秋楽
僕は舞台人だ。
今年の夏にあったトークライブで中村倫也さんはそう言っていた。
やっとやっと、その意味が理解できた。
この1年、ドラマの出演が多くて、そのどれもが彼の顔から分かるような、優しくてちょっと気の弱いサラリーマン、とか、ちょっと抜けてるけど純粋な技術者、とか。
ライチ☆光クラブで演じたのは、ゼラ。
ゼラは圧倒的なカリスマ性があって、クラブの絶対的な帝王。
30歳の時に世界を掌握する、とお告げを聞いて自分の絶対的な世界を作るため仲間を自分の思い通りに操る。
でもまだ13歳。
世界を掌握するために、自分たちが無敵になるために、ライチというマシンを作る。
クラブにライチが加わったことで少しずつ少しずつクラブ内の歯車が狂ってくる。
自分の計画は完璧だと思いながらも仲間に対して疑心暗鬼になってどんどんどんどん狂っていくゼラ。
未来に希望が持てなくて、それをなんとかしたくて、でもまだ子供で。
冷静さを失っていくゼラ。
野心に満ちてギラギラしていた目がどんどん色を失っていく、その変化が上手すぎて目が離せなかった。
温度の無い刺すような視線がゼラの苦悩を表していて、観ていて苦しくなった。
こんな中村倫也さんは、テレビで見たことない。
歌もダンスも上手くて、演技の振り幅も広い。
彼は能ある鷹だった。
年が開けると主演映画の公開がある。
こちらもとっても楽しみだ!