hot chocolate

まいにちたのしい

身体が資本

今日のフィギュアスケート中国大会を見た。
私はフィギュアのことはよく分からなくて、でもなんか凄いよね、ってそんな緩い感じで見ていた。

男子の6分間練習の時、羽生選手とエンカン選手に激しい衝突があった。
エンカン選手は自力でリンクの外に出て応急処置を受けていたけれど、羽生選手は倒れたまま起き上がれなくて、救護に連れられてリンクから出て行った。頭部と顎から流血があった。
かなりのスピードで滑っていた2人が衝突して氷に叩きつけられた。
想像以上の衝撃を受けたと思う。

こんなアクシデントがあったのに、羽生選手もエンカン選手も、2人とも棄権をすることはなかった。
ケガをしたけど、滑り切りたい。そういう気持ちも分からなくもない。
でも、頭を氷に打ち付けている。
この事実をもっと周りが重く受け止めるべきだったと思う。

私にも昔、軽い脳震盪を起こした経験がある。
自転車に乗っていて、立ち漕ぎをしようとペダルに力を入れた時、自転車のチェーンが外れて前に飛んで頭からコンクリートに落ちた。
通りがかったお兄さんとおばちゃんが助けてくれて、自転車も直してくれた。
何が起きたのかよく分からなかった。
でも気が付いたら電車に乗っていて、大学に向かっていた。
何事も無く大学で授業を受けて帰宅したけれど、その日の夜に頭痛がして救急外来に行って検査をした。
結局検査に異常は見られなくて、経過観察と言われて病院を後にした。
もうあれから7年くらい経つけれど、あの時の不安な気持ちとか、病院に同行してくれた両親の不安そうな顔は今でも忘れられない。
そして、頭を打ってから自分が電車に乗っていると気がつくまでの20分くらいの記憶が未だに抜けている。

今回の羽生選手とエンカン選手が受けた衝撃なんかとは比べ物にならないようなアクシデントだったけど、私にはあの時の20分の記憶がない。
自分の身に起きたことを考えても、やっぱり今日のフィギュアについては、あの2人には棄権させるべきだったと思う。

もちろん選手は試合のために日々を過ごしているんだから、体が動く限り、出たいと思うことは分かる。
だけど、フィギュア選手に限らず、体が資本だし、命より大事なものは無い。
冷静な判断ができない選手を止めるために周りのコーチだったり、連盟があるんじゃないの?

今回のことで1番に違和感なのは、「やりきった!えらい!日本の誇り!」とメディアが報道していること。
棄権せずに試合に出たことはベストな選択では無かったのに、美談のように囃し立てることはやっぱりおかしいし、日本人の恐ろしさを見たなと思った。

とにかく、2人の選手に何事もない事を祈るばかりです。


-追記-
現場は軽くパニックみたいになってたんだろうし、当事者の2人以外の他の選手にも相当な動揺があったんだろうなと想像できる。
流血しながらも滑りきった羽生選手の後のリンクはきっと異様な雰囲気だったんだろうし、そんな中、気持ちを落ち着かせて普段通りの演技をたった一人、氷上で行わなければならないなんて、フィギュアは孤独なスポーツだなと改めて思った。
コフトゥン選手、お疲れ様でした。1位おめでとう。

エンカン選手は深刻な状況ではない、とニュースで見たけれど、羽生選手はどうなんだろう。
とにかく、2人の無事を祈るばかりです。